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コラム オフィスレイアウトで失敗しない手順とは?寸法基準やトレンドを解説


オフィスレイアウトで失敗しない手順とは?寸法基準やトレンドを解説

オフィスレイアウトの変更は、単なる模様替えではありません。それは、企業の生産性や従業員のモチベーション、ひいては企業文化そのものを形成する重要な経営課題です。
「社員が増えて手狭になった」「コミュニケーションをもっと活性化させたい」といった悩みを持つ担当者の方も多いのではないでしょうか。
この記事では、オフィスレイアウトの基本から法的な基準、最新のトレンドまで、失敗しないためのポイントを網羅的に解説します。読み終える頃には、自社に最適なオフィスを作るための具体的なアクションが見えてくるはずです。

※本記事で紹介している法規制や数値基準は主に日本の制度に基づいています。各国・地域で適用される規制は異なるため、実際の設計にあたっては現地の法令をご確認ください。

1. オフィスレイアウトを決める正しい手順とは?

オフィスづくりを成功させるためには、いきなり家具カタログを見たり図面を引いたりするのではなく、しっかりとした計画段階を経ることが重要です。
まずは何のためにレイアウトを変えるのかという目的を定め、そこから逆算して詳細を詰めていくプロセスが必要です。
ここでは、着実なプロジェクト進行のために必要な4つのステップを解説します。

ステップ 実施内容 ポイント
1. 現状調査

社員アンケート、収納量調査

潜在的な不満や物理的な不足を数値化する
2. コンセプト策定

「コミュニケーション強化」「集中重視」など

経営方針とリンクしたテーマを設定する
3. 必要機能の定義 会議室数、休憩室、Web会議ブース 将来の人員増も見越して余裕を持たせる
4. ゾーニング 各エリアの配置計画 音や人の動き(動線)をシミュレーションする

コンセプトと現状課題を明確にする

レイアウト変更の出発点は、現在のオフィスが抱える課題の洗い出しと、新しいオフィスで実現したいコンセプトの策定です。
現状の不満点として「会議室が足りない」「雑音が多く集中できない」「部署間の連携が悪い」といった具体的な声をヒアリングすることから始めてください。これらの課題を解決した先に、「どのような働き方を実現したいか」というコンセプトを言語化します。
コンセプトが曖昧なままだと、最終的に単に家具を新しくしただけの使いにくいオフィスになってしまうリスクがあります。

必要なスペースと機能のゾーニングを決める

コンセプトが決まったら、それを実現するために必要な機能やスペースをリストアップします。
執務スペースだけでなく、会議室、リフレッシュエリア、集中ブース、倉庫など、必要な機能をすべて洗い出してください。
次に、それらをオフィス空間のどこに配置するかという「ゾーニング」を行います。
来客エリアは入り口付近に、集中エリアは奥まった場所に配置するなど、動線とセキュリティを考慮して大まかな位置関係を決定します。

法的基準と安全性を確認する

レイアウトを考える上で避けて通れないのが、消防法や建築基準法などの法規制です。
どれほどデザイン性が高くても、法的に問題があれば行政から是正指導や使用制限の対象となる可能性があり、社員の安全を脅かすことになります。
特にパーティションを新設する場合の排煙設備の基準や、避難経路となる通路幅の確保は必須です。
具体的な図面を確定させる前に、必ず法的な要件を満たしているかを確認し、必要であればビル管理会社や専門業者に相談してください。

2. 代表的なデスクレイアウトの種類と特徴は?

オフィスの印象と機能性を決定づける最大の要素は、デスクの配置パターンです。業務内容や組織の風土によって最適な配置は異なります。
ここでは、現在多くの企業で採用されている主要な4つのレイアウト形式について、それぞれのメリットと適した職種を紹介します。

レイアウト形式 メリット デメリット 向いている職種
対向式(島型)

チームの連携が容易、省スペース

視線が気になる、集中しづらい 営業、一般事務
同向式(スクール型)

集中しやすい、管理がしやすい

チーム内の会話が減る コールセンター、オペレーター
背面式 集中と会話の両立が可能 広いスペースが必要 企画、開発、デザイン
フリーアドレス コミュニケーション活性化、省スペース 居場所が不明、帰属意識の低下 営業、企画、全職種(導入拡大中)

対向式(島型)レイアウト

日本のオフィスで最も馴染み深いのが、部署ごとにデスクを向かい合わせにして配置する対向式レイアウトです。
この配置は「島型」とも呼ばれ、チーム内のコミュニケーションが取りやすく、配線計画も容易であるという利点があります。
電話対応や頻繁な相談が必要な営業職や事務職のチームに適していますが、視線が合いやすいためプライバシーの確保や集中作業には工夫が必要です。

同向式(スクール型)レイアウト

すべてのデスクが同じ方向を向いて並ぶ、学校の教室のような配置形式です。
このレイアウトは、他人の視線が気になりにくく、業務に集中しやすい環境を作ることができます。
また、定型業務やデータ入力など、個人の作業効率が優先される職種や、コールセンターなどで多く採用されています。
一方で、後ろの席の人との会話はしにくくなるため、チーム内の連携を重視する場合は不向きと言えます。

背面式レイアウト

チームメンバーが背中合わせに座り、壁やパーティションに向かって仕事をするスタイルです。
作業中は個人の空間に没頭でき、振り返ればすぐにメンバーと会話ができるため、集中とコミュニケーションの両立が可能です。
企画職や開発職、クリエイティブ職など、個人の思考時間とチームでのすり合わせの両方が必要な職種に向いています。

フリーアドレス型レイアウト

固定席を設けず、社員がその日の業務内容や気分に合わせて自由に席を選べるスタイルです。
部署を超えた偶発的なコミュニケーションが生まれやすく、スペース効率の向上やペーパーレス化の促進にもつながります。
営業職など外出が多い部署では特に有効ですが、誰がどこにいるかわかりにくくなる点や、帰属意識の希薄化といった課題への対策もセットで考える必要があります。

3. 快適に働くための通路幅や寸法の基準は?

オフィスレイアウトにおいて、見落としがちですが最も重要なのが「寸法」です。
デザインが良くても、通路が狭すぎてすれ違えなかったり、椅子を引くと後ろの人にぶつかったりするようでは、ストレスの溜まるオフィスになってしまいます。
ここでは、人間工学や実務的な観点から推奨される、具体的な寸法の目安を解説します。

箇所 推奨寸法 理由・備考
メイン通路

1200mm〜1600mm

人が余裕を持ってすれ違える幅
デスク間の通路

900mm〜1200mm

座っている人の後ろを通行できる幅
執務スペース(1人あたり) 6平方メートル〜10平方メートル 通路や共有部を含めた1人あたりの目安
座席の後ろ 600mm〜900mm 椅子を引いて立ち上がる動作に必要な空間

人がすれ違うためのメイン通路幅

オフィスのメイン動線となる通路は、人と人がスムーズにすれ違える幅を確保する必要があります。
一般的に、人が一人通るのに必要な幅は600mmと言われていますが、すれ違いを考慮すると最低でも1200mmの幅が必要です。
さらに、車椅子での移動や台車を使った運搬を考慮する場合や、メインエントランスからの主要通路であれば、1600mm程度の余裕を持たせることが推奨されます。

デスク間の座席スペースと後ろの通路

執務エリアでは、デスクに着席している人のスペースと、その後ろを通る通路スペースの両方を計算に入れる必要があります。
デスクから椅子を引いて座るためには約400mm〜500mmが必要であり、さらにその後ろを人が通る場合、デスクの端から背後の壁や家具まで最低でも1000mm、できれば1200mm程度のスペースを確保してください。
後ろを通らない場合でも、圧迫感を防ぐために800mm〜900mmは確保するのが理想です。

会議室やリフレッシュスペースの広さ

会議室の広さは、参加人数とテーブルのサイズによって決まります。
一般的に、4〜6名用の会議室であれば約4〜5坪(13〜16平方メートル)程度が目安となります。
リフレッシュスペースについては、全社員が一斉に使うわけではないため、全社員数の10〜20%程度が同時に利用できる広さを確保するのが一つの基準です。
また、コピー機や複合機を置くスペースの前には、作業やメンテナンスのために最低1000mmの空間を空けておくことも忘れてはいけません。

4. 法律で定められたレイアウトのルールとは?

オフィスのレイアウトは自由に変えられるものではなく、従業員の安全を守るための法律によって一定の制限が設けられています。
これらを無視して工事を行うと、消防署の立ち入り検査で指摘を受けたり、最悪の場合は使用停止命令が出たりする可能性もあります。
ここでは、特に注意すべき3つの法規制について解説します。

法律名 主な規制内容 注意すべきレイアウト変更の例
消防法

消防設備の有効範囲

パーティション設置による感知器の死角
建築基準法

避難通路の幅、排煙設備、内装の不燃材料、廊下幅

廊下幅の縮小、天井までの壁設置(個室化)、避難経路の変更
労働安全衛生法 照度、気積、換気、室温管理 照明のないエリアへのデスク配置、空調のない個室設置

消防法による避難経路の確保

消防法ではパーティションで部屋を区切る際には、火災報知器やスプリンクラーの感知範囲が遮られないように注意し、必要に応じて設備の増設を行わなければなりません。
また、建築基準法では、火災時などの緊急事態に安全に避難できるよう、避難経路の幅や配置が厳格に定められています。
廊下の幅は、片側に部屋がある場合は1.2m以上、両側に部屋がある場合は1.6m以上確保する必要があります。

建築基準法による排煙設備の設置義務

建築基準法では、火災時の煙を外に排出するための排煙設備の設置が義務付けられています。
天井まで届くハイパーティションや造作壁で部屋を新たに作る場合、その部屋が「居室」とみなされると、排煙窓の設置や排煙口の確保が必要になることがあります。
窓のない部屋を作る場合や、欄間(ランマ)を閉じた個室を作る場合は、内装制限や排煙計算について専門家による事前の確認が不可欠です。

労働安全衛生法による照度と空調管理

労働安全衛生法(事務所衛生基準規則)では、従業員が健康に働くための環境基準が定められています。
具体的には、机上の照度(明るさ)は一般的な事務作業は300ルクス以上、付随的な事務作業は150ルクス以上の確保が必要です。
また、空調設備についても、新たに個室を作ったことで空気が滞留したり、温度調整ができなくなったりしないよう、気積(部屋の容積)に応じた換気能力や空調の吹き出し口の位置を調整する必要があります。

5. コミュニケーションを活性化するゾーニングとは?

現代のオフィスレイアウトにおいて、最も重視されているテーマの一つが「コミュニケーションの活性化」です。
単に机を並べるだけでなく、意図的に人が交わり、会話が生まれるような仕掛けを空間に組み込むことが求められています。
ここでは、ゾーニングによってコミュニケーションを促進するための具体的な手法を紹介します。

ゾーンの種類 目的 設置すべき設備・家具
集中ゾーン

没頭して個人作業を行う

パネル付きデスク、私語禁止ルール、吸音パネル
交流ゾーン

カジュアルな会話や相談

ファミレス席、ソファ、カフェカウンター
マグネットゾーン 人を呼び寄せ偶発的な会話を生む コピー機、給茶機、社内掲示板、郵便受け
Web会議ゾーン 周囲を気にせず通話・会議 防音個室ブース、セミクローズドなブース

集中エリアと交流エリアの明確な分離

コミュニケーションを促すためには、逆説的ですが「集中するための場所」を確保することが重要です。
どこでも会話が聞こえる状態では、集中したい人がストレスを感じてしまいます。そこで、オフィス内を「静かに作業するゾーン」と「会話OKなアクティブゾーン」に明確に分けます。
これにより、交流エリアでは気兼ねなく会話ができるようになり、結果としてコミュニケーションの質と頻度が向上します。

マグネットスペースの設置による偶発的な会話

人が自然と集まる場所を意図的に作る手法を「マグネットスペース」と呼びます。
具体的には、コピー機、ドリンクサーバー、ゴミ箱、文房具置き場などを一箇所に集約させたエリアのことです。
業務上の用事でそこに行った際に、他部署の人と顔を合わせ、「お疲れ様です、最近どう?」といった何気ない会話が生まれるきっかけを作ります。
この動線設計が、組織の縦割りを解消する鍵となります。

1on1やWeb会議専用ブースの配置

リモートワークの普及に伴い、オフィス内でのWeb会議や1on1ミーティングの頻度が急増しています。
これらを自席で行うと周囲の迷惑になり、逆に周囲の声が入って相手に迷惑をかけることもあります。
そのため、遮音性の高い個室ブースや、少人数でさっと使えるファミレス席のようなミーティングスペースを各所に配置することが重要です。
気軽に話せる場所があることで、「ちょっと相談したい」というコミュニケーションのハードルを下げることができます。

6. 最新のオフィスレイアウトのトレンドは?

オフィス環境は時代の変化とともに進化しており、近年では「効率性」だけでなく「ウェルビーイング(心身の健康)」や「柔軟性」が重視されるようになっています。
これからのオフィスづくりに取り入れたい、最新のトレンドキーワードとその効果について解説します。

ABW(Activity Based Working)の導入

ABWとは、仕事の内容に合わせて働く場所や時間を自由に選ぶ働き方のことです。
フリーアドレスと似ていますが、ABWはさらに一歩進んで、集中ブース、カフェスペース、スタンディングデスク、ソファ席など、多様な環境を用意する点が特徴です。
社員が自律的に最適な場所を選ぶことで、生産性の向上だけでなく、主体性や創造性を引き出す効果が期待されています。

バイオフィリックデザインによるストレス軽減

人間が本能的に持つ「自然とつながりたい」という欲求を満たす「バイオフィリックデザイン」が注目されています。
単に観葉植物を置くだけでなく、木目調の家具を取り入れたり、自然光を最大限に取り入れたり、川のせせらぎのような自然音を流したりする手法です。
自然を感じる要素を取り入れることで、従業員のストレスが軽減され、幸福度や集中力が高まることが科学的にも示唆されています。

柔軟に変更可能な可動式家具の活用

ビジネス環境の変化スピードが早まる中、オフィスにも可変性が求められています。
床に固定する造作壁や重い家具の代わりに、キャスター付きのデスクやホワイトボード、移動可能なパーティション、テント型のブースなどを採用する企業が増えています。
これにより、プロジェクトチームの編成変更や人数の増減に合わせて、自分たちの手で即座にレイアウトを変更することが可能になり、コスト削減とスピード感のある組織運営に寄与します。

7. レイアウト変更でよくある失敗と対策は?

どれだけ周到に計画しても、実際に使い始めてから気づく「落とし穴」が存在します。
多くの企業が経験する失敗事例を知っておくことで、トラブルを未然に防ぐことができます。
ここでは、特によくある3つの失敗と、それを防ぐための対策を紹介します。

電源やLAN配線の位置確認不足

レイアウト図面上では完璧に見えても、実際にデスクを置こうとしたら「電源コンセントが遠すぎて届かない」「LANポートが足元になくて配線が露出してしまう」といった問題が発生しがちです。
特に島型からフリーアドレスに変更する場合などは必要な電源数が増える傾向にあります。
什器の配置を決める前に、必ずフロアの設備図面を確認し、必要であればOAフロアの改修や電気工事を予算に組み込んでおくことが重要です。

音の問題による執務環境の悪化

「開放的なオフィスにしたい」と壁を減らした結果、電話の声や会議の音が執務エリアに響き渡り、仕事にならないというケースは後を絶ちません。特にWeb会議が増えた現在、音の問題は深刻です。
対策として、吸音素材を使った天井材やカーペットの採用、サウンドマスキングシステム(空調音のような音で会話を聞こえにくくする技術)の導入、そしてエリアごとの遮音壁の設置を検討してください。

収納スペースの見積もり不足

ペーパーレス化を進める前提で書庫を減らしたものの、実際には紙書類が減らず、デスク周りが書類の山になってしまう失敗もよくあります。
レイアウト変更は断捨離の好機ですが、理想だけで収納を減らすのは危険です。
現状の書類量を正確に計測し、「廃棄するもの」「外部倉庫に預けるもの」「オフィスに残すもの」を明確に仕分けた上で、必要な収納量を確保してください。
個人ロッカーのサイズも、PCや鞄が入る十分な大きさを確保する必要があります。

8. まとめ

この記事の要点をまとめます。

  • レイアウト変更は経営課題の解決と捉え、明確なコンセプトに基づいて計画する
  • 業務内容や働き方に合わせ、対向式やフリーアドレスなど最適なデスク配置を選ぶ
  • 快適な動線と安全性を確保するため、推奨される通路幅や法的基準を遵守する
  • コミュニケーション活性化やWeb会議対応など、目的に応じたゾーニングを行う
  • 電源容量や音環境など、よくある失敗事例を事前に把握して対策を講じる

オフィスレイアウトは、単なる物理的な配置の変更ではなく、企業の未来を作る投資です。この記事で紹介した手順や基準を参考に、社員が生き生きと働ける理想のオフィスを実現してください。
まずは社内の課題ヒアリングから、小さな一歩を踏み出してみましょう。

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